腱鞘炎とは?
腱鞘炎とは?
◎腱鞘炎とは?
私達が体を動かす時、体は筋肉で骨を動かして関節を曲げたり伸ばしたりしています。
腱鞘炎の「腱」とは、その筋肉と骨をつないでいるものです。そして、その腱をつつんでいる鞘(さや)のことを腱鞘と言います。鞘はトンネルのようになっていて腱がが通っています。
その腱と鞘(さや)が、炎症などによってスムーズに動かなくなり、痛みやシビレなど不調を感じるようになったものの事を「腱鞘炎」と言います。
- 一般的に言う腱鞘炎の原因
腱鞘炎の原因は、大きく3つになります。
1.使いすぎ
機械も同じ作業を繰り返せば、そこに熱が生じますね。人間で言えばそれが炎症です。クールダウンが必要なのに、体が欲しがっている休憩をしなかったことが大きな原因です。
2.血行不良
同じ動作を繰り返したり、同じ姿勢を取り続けていると、一定の場所が緊張状態になります。体の中の流れが悪くなり腱鞘炎を引き起こす原因になります。
3.ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化が血行不良の方向へ触れれば、やはり腱鞘炎など不調の原因になります。
1.同じ動作の繰り返しによる使いすぎ
2.特定の場所の血行不良
3.ホルモンバランスの変化
これらが腱鞘炎になる原因になると考えておきましょう。
◎整体師の視点から考える腱鞘炎の原因
腱鞘炎の原因が、
1.同じ動作の繰り返しによる使いすぎ
2.特定の場所の血行不良
3.ホルモンバランスの変化
これらである事は一般的に知られているところですが、それぞれの項目をさらに深く考えてみましょう。
1.同じ動作の繰り返しによる使いすぎ
同じ動作をしていても腱鞘炎になる人とならない人がいます。その差はなんでしょうか?
私達整体師は「ボディバランスがくずれた状態で、繰り返し動作をしているのが原因」と、考えます。
手の腱鞘炎の場合、まず腕を作っている骨(前腕骨)のバランスがくずれている場合が多くあり、そのまま繰り返し作業をすることで炎症を起こしてしまいます。
また、骨盤や背骨などのズレやねじれがある状態でいると、その影響は、指先、足先、頭部と体の先端にも出ます。体は、一つにつながっているのです。全体のボディバランスを整える事は、とても大切です。
まじめな人ほど練習や仕事を自分の体をかえりみず行うので休息を忘れます。そんな心のクセも原因の一端になります。
2.血行不良
手の腱鞘炎になりやすい人は、二の腕、肩、首の筋肉に力が入っていて固くなっている方が多いです。このあたりが緊張状態になっていると、指に与えられるはずの血の巡りが悪くなります。
また、女性は男性に比べて筋肉や腱が細いので血行不良になりやすいです。負担そのものも大きくなります。
冷え性や、体が冷える仕事をしている人も同様です。
筋肉の過緊張と冷えを解消し、疲労物質がちゃんと排出される体作りが大切です。
3.ホルモンバランスの変化
女性は、出産や生理、閉経などにより骨盤の状態が変化します。赤ちゃん抱っこをする、介護が始まるのも出産後や閉経の時期で、暮らしそのものも大きく変化します。その変化に体と心が対応できない事があります。
腱鞘炎といっても原因は様々です。その一つ一つの原因を解決してゆくことが腱鞘炎の痛みからの解消へつながってゆきます。決して、指だけ、手首だけの問題ではありません。
◎女性特有の腱鞘炎の原因
女性特有の原因として「腱が男性よりも細い」ということも原因の一つになります。細い腱であるほど、負担が大きくなるのは明らかです。
また「ホルモンのバランスの変化」も、男性に比べて大きいです。その変化は、出産、閉経、そして毎月の生理など日々劇的に起こっています。そのたびに体の中では骨盤を中心とした場所で変化が起こっています。
体や心の変化に応じて、一日の内に少しでもリラックスする時間を意識的に取ることが大切です。自分をいたわりましょう。
◎若い女性に多いガングリオン
ガングリオンとは、中にゼリー状のものが詰まった良性の腫瘍で、手の関節や腱鞘のある辺りにできやすいです。男性よりも若い女性に多く見られます。神経に触るものでなければ急いで手術する必要はありません。
注射でそのゼリーを吸い取るのが一般的な治療になりますが、整体からのアプローチは、関節のズレを治し少し広げてあげるようにすることでゼリーを流してあげることで、このコブ状の状態を解消してゆきます。
また整体では、全体のボディバランスを取り戻すことで、そのガングリオンを出現させてしまった体のすべての関係性を1つずつ消去して行きます。
ただ、硬くなってしまうとなかなか消えませんので、気になる方は早めに対応しましょう。
◎あなた自身が腱鞘炎になった原因を考えてみましょう。
腱鞘炎は「使いすぎ」が、その大きな原因なので、あなた自身の原因を見つけやすですね。
1.ピアノ、ギターなど同じフォームで楽器演奏のしすぎた
2.パソコンやゲーム、スマホでのメールで連打しすぎた
3.介護で人を支えすぎた
4.重い物を運搬し続けて、腕や肩に負担をかけた
5.大工さんが金槌でゴンゴン叩き続けた
6.美容師やトリマーなどハサミなどで仕事をしすぎた
7.テニスや野球などスポーツで練習をしすぎた
8.赤ちゃん抱っこをずっとしている
9.料理人や主婦の皆様は包丁を力をこめてにぎりすぎた
10.肩肘を立てて寝転んで手に負担をかけてテレビをずっと見ていた
まずは、自分の普段の生活を見なおしてみましょう。治療を受ける時も、カウンセリングの時に自分の原因をしっかりと洗い出しましょう。
◎腱鞘炎の症状
1.初期
初期の症状は、指や腕を動かしたとき「なんとなく違和感がある」「一瞬、痛いことがある」という程度です。
「なんとなく」や「一瞬」で、やりすごす事ができるので、「まぁ、いいか」「気のせいだろう」と、思いがちです。
この時点で、休息やリラックスタイムを設けることが出来る人であれば、腱鞘炎に限らず、様々な痛みから遠ざかった暮らしができます。
2.中期
腱鞘炎の原因になっている動作をしていなくても「痛み」「しびれ」が持続して感じている状態が中期と考えて良いでしょう。
1.関節の腫れがある
2.動かすと痛い
3.動かしにくい
4.動かさなくても痛い、しびれる、だるい
5.特定の場所を押すといたい
動かさなくても違和感などを感じている場合は、慢性化しはじめています。できれば、この時点で対応をはじめたいものです。
3.後期
1.ズキズキ痛む
2.何もしなくても激痛
3.痛くて物がつかめない
4.仕事に支障が出ている
ここまでくると腱鞘炎の部位のみならず、肩や首、腰や背中などにも違和感がでているはずです。鏡で自分をみて、肩の高さが左右がちがうかどうか?などボディバランスがくずれているかチェックし、体全体から一つずつ痛みの原因を解消してゆきましょう。
◎手首の腱鞘炎
親指、または手首の親指側に違和感や痛みがありますか?
ドゥケルバン(ドケルバン・ケルバン・デケルバン)腱鞘炎とよばれているもかもしれません。日本語では、狭窄性腱鞘炎と呼ばれています。親指をゆっくり握った時に、手首に痛みをかんじるなどがそれにあたります。
手首や親指はの運動は物をつかむことに直結しています。ですから、手首が痛くて物がつかめないと日常生活に支障が出てしまいますね。
まずは、患部を休めること。そしてお風呂などで血行を良くすることが、一番基本のセルフケアです。意識して行いましょう。
◎指の腱鞘炎
指の小さな腱が鞘(さや)とが、こすれあって炎症がでてしまった状態です。
指の曲げ伸ばしがしにくかったり、指のちょっとした動きにも違和感や痛みを感じたりするようになります。シビレが続いていることもあります。
指の腱鞘炎で代表的なものは「ばね指」です。指を伸ばそうとしたとき、勢い良く指が伸びてしまうポイントがある状態のことなどです。(逆に伸びっぱなしという事もあります)腱と鞘(さや)に、ひっかかる部分が出来てしまっています。
まずは休息すること。腫れて熱を持っているようでしたら冷やす(アイシング、冷湿布)そうでなければ、お風呂などで温めて血行を促しましょう。
病院で診察をうけるとステロイド注射やロキソニンなど痛み止めの薬、手術となることもあるようですが、手は繊細な場所のため、できれば注射や手術せずに自分の回復する力で痛みなどを解消したいものですね。
◎肘の腱鞘炎
肘の腱鞘炎は、スポーツなどで同じ動作を繰り返している時に起こりやすいです。
代表的なのが「テニス肘」「野球肘」と、呼ばれるものです。テニスのラケットを振る動作や、野球のボールを投げる動作は、どちらも肘を激しく曲げ伸ばしします。肘を曲げ伸ばしさせ腱と腱鞘に炎症が起こってしまっている状態です。
最近は、パソコンのマウス操作で肘や手首を痛める方もいらっしゃいます。クリックに指を痛める方も増えました。
対処療法としてはテーピングやサポーターが有効ですが、ずっとし続けると血行不良を起こしますので、あくまでそれらは対症療法と考えましょう。
肘の使いすぎが主因ではありますが、それぞれのフォームや体の使い方が、あなたの体に合っていない事も考えられます。(同じ動作をしても腱鞘炎になる人、ならない人がいます)
1.練習(作業)方法の見直し
2.フォームの見直し
3.道具の見直し
これらも考えてしっかりと早めにケアしてゆきましょう。
◎肩の腱鞘炎
肩にも腱も腱鞘もあり、当然、腱鞘炎になる方がいらっしゃいます。
力こぶを作った筋肉の肩側の辺りの腱が腱鞘につつまれていて、ここに炎症などのトラブルがあれば腱鞘炎という事になります。「上腕二頭筋長頭腱鞘炎」といいます。
猫背ぎみに肩が前方に巻き込むような姿勢ですと、この部分が圧迫され炎症を起こしやすいです。
同じように肩の関節のハマり具合がしっかりとしていないなど、体格的な事が原因で圧迫されることで、肩の腱鞘炎になる方もいます。
また血行が悪いことも悪化させる原因になるので、力こぶの部分や肩甲骨の周りの筋肉が固くなっている方が肩の腱鞘炎になっているケースが大変多いです。このような人は、腕を動かすときに肩関節しかうごかしていないというケースが多く見られます。
四十肩・五十肩・肩の腱鞘炎は、いずれも同じような事が原因で起こっている場合が多いです。
1.立った時の姿勢をみて、左右傾いていませんか?
2.力こぶが固くなっていませんか?
3.肩を動かした時、背中の筋肉は動いていますか?
こんな事をチェックしてみてください。
◎足の腱鞘炎
足にも足首から足の甲にかけて腱や腱鞘があります。ここに炎症があると、足の腱鞘炎の可能性があります。
痛いのが片方の足でしたら、左右の足の厚さを比べてみてください。痛いほうが厚くなり熱を持っていたら炎症を起こしています。熱がある時は、対処療法になりますが、氷で冷したり冷湿布で対応してください。
テーピングやサポーターも、急な対処療法としては有効です。(ただし、テーピングとサポータを長時間するのは、血行が悪くなるので気をつけましょう)
原因は使いすぎもありますが、以外に多いのが「靴が合っていない」ということです。普段一番履いている靴を履いて、集中的に当たっているが痛かったりしませんか?その場合は、靴を変えて休息するだけで痛みが軽減します。
また、片足だけに重心をかけるクセがあるなどがあれば整体でボディバランスを整えると楽になります。
揉んだり、叩いたり、無理なストレッチやマッサージはNGです。気をつけてください。
足の腱鞘炎の方は、自分の履いている靴をお持ちいただくと、より原因を見つけやすいでしょう。
◎お医者さまの腱鞘炎の対応
西洋医学の腱鞘炎の対応をご紹介します。
安静
↓
電気、マッサージ、湿布、飲み薬
↓
ステロイド注射、痛み止め注射、サポーター、テーピング
↓
手術
もしも手術を決意されているようでしたら、手、特に指は繊細な腱をもっているので、腕の良いお医者様を見つけましょう。
◎鍼灸院の対応
鍼やお灸の効果はどうでしょうか?
手の腱鞘炎に良いツボと言われているのが「合谷」「手の三里」「曲池」などと言われています。
鍼やお灸は、そこに打つことで血行を良くしたり、神経の栓を開けたりすることで腱鞘炎やシビレを解消してゆきます。
とても効果的です。
◎整体師のオススメする腱鞘炎の治療の流れ
1.まず休息をとる
特定の動きを続けることが大きな原因になりますから、痛みなどが出ている部分を休ませるのが基本です。
2.冷やす(応急処置)
炎症があり、熱が持っている急性のいたみには、冷湿布などで冷やしましょう。熱がなくたったら、今度は温めて血行を良くしましょう。
3.血行を良くする
・お風呂に入り、しっかり湯船につかる。
一日20分は湯船につかりましょう。この時、正座ができると立腰し骨盤が心地よい位置にはいるので、体全体のねじれも取れやすくなります。
・深呼吸
深呼吸は、体内部のストレッチと考えてください。呼吸が浅くなっていませんか?呼吸をしっかりすることで、副交感神経を目覚めさせる効果もあります。
・温泉に入る
温泉は、腱鞘炎に限らずあらゆる不調に効果的です。良いお湯を探しましょう。
4.整体で体全体の調整
・整体の施術で正しいボディバランスを知り、整える
腱鞘炎の原因は、指や手首そのものより、肩、首、肩甲骨、骨盤や背骨の歪みやねじれという場合だと考えます。その歪みのない状態を調整によってつくり、その心地良い状態を体と脳に覚えさせます。
・整体の施術で過緊張から抜ける
自分の筋肉が普段どのような緊張状態にいるのか、実はわかっていない場合が多いです。筋肉の緊張がとれるだけで、痛みが解消される事はとても多くあります。
・普段の演奏や仕事のフォームを指導を受けて改善する
痛みを出しているフォームかや体の動きをチェックします。そして、それらを解消する練習を行うことが大切です。
5.整体直後のアフターケア
・整体後は、体が非常に動きやすくなっております。この時に、嬉しくてついつい動きすぎる方がいらっしゃいますが、普段の通り普通にお過ごしください。
・バージョンアップした体についていくことができず、時に好転反応で少し痛みを感じることがありますが、大丈夫ですのでご安心ください。
・整体の施術を受けたあとは、なるべくリラックス。お風呂に入ったり眠ることができると効果的です。
6.自宅での普段のセルフケア
・自宅でのストレッチ
体のバランスを整え、筋肉をリラックスさせる自宅でのセルフケアを覚えて少しずつ体をケアしましょう。森といずみ整体では、自宅でできる簡単で効果抜群なセルフケアをご指導させていただきます。
・ちょこちょこ動くこと
同じ姿勢でいると、体と脳はその状態を覚えてしまいます。同時に、おなじ動きを繰り返していると、それが不自然な状態でも脳や体が覚えてしまいます。20分に一回は動く、1時間に一回はお手洗いに行ってみるなど、意識的に体を動かしましょう。
・運動
運動は血行を良くしますので、適度に体を動かしましょう。それだけで腱鞘炎が治る人もいます。
・リラックスタイム
一日の内、何分かはリラックスする時間を設けましょう。深呼吸が効果的です。できるだけリラックスできる体制になって、8回ほど(約1分)深呼吸しましょう。副交感神経が優位になり、体全体の筋肉もゆるみます。
・食事
治癒力を高めるために、食事は腹八分目に。
◯楽器別フォームなど、腱鞘炎の原因になるもの
1.ギターやバイオリンなどの弦楽器
・同じコードや奏法の練習を繰り返した。
・楽器が大きすぎる、小さすぎる。
・弦高が高くて無理をしている。
・弦の張りが強い。
・ストラップの調整が体に合っていない。
・(ギター)右手で弦を弾く時、第一関節だけで弾く。
・爪をしっかり整えていなかった。
・小指などの酷使。
・脱力できていない。
・楽器を弾く時固まっていて背中が動いていない
思い当たるようでしたら先生に習ってフォームを改善しましょう。
2.ピアノなど鍵盤楽器
・手首を硬くしたままピアノなどの鍵盤を叩く
・手の平の上下運動が多い
・同じフレーズばかり弾きすぎた
・何時間も根性で練習した
・オクターブ演奏など、手を開きっぱなしで弾き続けた
・猫背で演奏しつづけた(肩甲骨周りの筋肉が固くなる)
・歯を食いしばって演奏した(首に緊張感)
体を固くしてのピアノ演奏は腱鞘炎になりやすです。
脱力して弾けるようになりましょう。
◆腱鞘炎になりにくいピアノの弾き方を学びたい人は
ピアノ・フィジカルトレーナーの森山雪子までご相談ください。
http://ameblo.jp/msartworks-moriyama/
◆「ピアノ・フィジカルトレーナーとは?」
http://ameblo.jp/msartworks-moriyama/entry-11506110974.html
3.ドラムなどの打楽器
・手首の動きは上下の動きに弱いのに、手首の上下だ運動だけで叩く。
・スティックをギュッともって叩く
・肩や背中が固まって手首だけで叩く
下半身はしっかり踏ん張って。上半身はしなるような柔軟力のある動きをしましょう。
4.木管楽器
・楽器が重い。
・大きすぎる、小さすぎる。
・無理な角度で楽器を支えている。
・押さえるキーの大きさが小さすぎる
・キーを脱力できない状態で高速で動かした
ストラップをつけることが可能な楽器は使いましょう。
足をしっかりひらいて立つことも有効です。
肘は上げ過ぎないようにしましょう。
フルートは左手人差し指の付け根の安定感がポイントです。