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Dr.大久保の健康コラム

『めまい』

「めまい」を訴える患者さんは少なくありません。
「めまい」は大きく2種類に分けられます。
自分の体や天井がグルグル回るように感じる「回転性めまい」と、
立っているとクラクラする、あるいは宙に浮いたように感じる
「非回転性めまい」です。

めまい

【回転性めまい】
耳の奥にある内耳の異常によって起こります。
内耳には「三半規管」と「耳石器」があり、リンパ液で満たされています。
頭を動かすと、このリンパ液に流れが生まれ、
これが信号となって脳に伝わり、身体を平衡に保っています。

三半規管にリンパ液が溜まり過ぎると、回転性めまいに加えて、
耳鳴り、嘔気、難聴などの症状があらわれます。
これが「メニエール病」です。

また、耳石器からはがれた耳石が三半規管に入り込むことによって発症する
「良性発作性頭位めまい」という病気もあります。
中高年の女性に多く、症状は比較的短時間でおさまります。

治療は、いずれも内服薬、点滴療法が中心ですが、
難治性のものに対しては手術を行うこともあります。

【非回転性めまい】
脳梗塞、脳腫瘍など脳血管の病気によるものもありますが頻度はまれで、
大部分は起立性低血圧(立ちくらみ)や、ストレスや自律神経の乱れによる
ものです。精神安定剤等の薬の副作用によるものもあります。
治療は原因疾患の治療が第一ですが、十分な休養、睡眠、温熱療法、運動療法などです。

画家ゴッホは晩年、回転性めまい、耳鳴り、嘔気、難聴に苦しみ、
自ら左耳を切り落としました。おそらくメニエール病に苦しんでいたものと思われます。

「時は 私に めまいだけを残してゆく・・・」
小椋佳の名曲ですが、この主人公の場合は、
おそらく恋の悩みで自律神経が乱れたことで起きた「非回転性めまい」でしょうね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975


『うつ病』

私は外科専門の一開業医ですが、いくつかの会社の産業医として、労働者の健康を管理する仕事もしています。

労働者からの相談で最も多いのが、うつ病などのメンタル関係です。
うつ病

うつ病にもさまざまなタイプがあり、本来のうつ病(大うつ病)の他に、双極性障害(そううつ病)などがありますが、最も多いのが職場や家庭でのトラブル、仕事での失敗、親しい人との死別、離婚、健康不安など、さまざまなストレスが原因で起きるものです。これは専門的には「抑うつ状態」と呼んでいます。

うつ病がひどい

うつ病になると、抑うつ気分(ゆううつな気分)となり、今まで興味をもっていたことが楽しめなくなったり、

退屈

不眠、

不眠

食欲低下などの他、

食欲低下

動悸息切れ、口渇、

動悸息切れ

便秘・下痢などの身体的症状もあらわれます。

便日・下痢

さらに重症になると、「死にたい」といった自殺企図もあらわれます。

きけん



治療は、うつ病のタイプや原因によって異なりますが、まず第1に身体を十分に休めることです。睡眠をしっかりとりましょう。

睡眠

また、食事も大事です。とくにタンパク質と鉄分をしっかり摂ってください。

タンパク質

適度な運動をすることも効果的です。お勧めは「ウォーキング」です。

ウォーキング

うつ病は神経伝達物質のセロトニンやドパミンの機能低下が関与しており、それらの機能を高める抗うつ剤をうまく利用するのもひとつの方法です。

私も長い人生の中で、何度か抑うつ状態になって苦しんだ経験があります。

抗うつ剤などいろいろ薬も試しましたが、あまり効きませんでした。

薬 はてな

やはり原因となったストレスを冷静に見つめ、自分なりの対処法を身につけることが一番の治療だなあと感じています。

どれだけあがいても、悩んでも、所詮いずれは死んでしまう限られた人生、「成るようになるさ」と腹をくくって生きていけば何とかなるものです。

ビートルズの名曲「Let it be」では、「苦難の時も暗闇にいる時も、聖母マリアが現れて、Let it be(あるがままを受け入れなさい)と言ってくれる。」とポール・マッカートニーは歌っています。

うつ病や抑うつ状態で苦しんでいる人にぜひ聴いてほしい歌です。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】

大久保外科/消化器科 
浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)

TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

『インフルエンザ』

【原因】インフルエンザウィルスで、A型とB型があります。

A型:ヒト、鳥、ブタなどに感染し、感染力も強く、症状も重い。
B型:ヒトにのみ感染し、症状は比較的軽い。

【インフルエンザの流行パターン】

一般的には、11月ごろよりA型が増え始めて1、2月にピークを迎え、
2〜3月にB型が流行し、4月ごろには収束します。

【インフルエンザの症状】

急激な発熱によって発病し、頭痛、のどの痛み、咳などがあらわれます。
ふつうの風邪より肺炎や脳症を発症するリスクが高いのが特徴です。

風邪

【インフルエンザの予防】

1、手洗い、うがい、歯みがきを励行し、口の中を清潔に保つ。
2、マスクの着用。
3、家の中を清潔にし、十分に換気をする。
4、加湿器などを使って、部屋の中を乾燥させないようにする。
5、予防接種(ワクチン)

接種してから効果を発揮するまでが約2週間、効力は5ヶ月程度である
ため、10月下旬から12月上旬までの間に接種するのがよいでしょう。

注射

今年は例年のパターンと違い、4月を過ぎても収束せず、夏場〜秋にかけて
むしろ件数が増加しています。この理由として、次の2点が考えられます。

1、2019年から始まった新型コロナウィルスの大流行で、マスク着用などの
厳格な感染予防処置がなされたことによって、インフルエンザは全く流行しなくなり、
その結果免疫力が低下した。

2、新型コロナウィルス感染症が5類相当となり、
今まで行われてきた感染予防処置をしなくなったため。

マスク猫

新型コロナウィルスの出現によって、
人間だけではなく、インフルエンザウィルスも調子が狂ってしまったようですね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

『夏カゼ』

「かぜ」とは、ウィルスや細菌によって引き起こされる
上気道(鼻やノド)の炎症の総称です。
寒い時期に多いのですが、夏場も決して少なくありません。




【原因】
90%がウィルスで、寒い時期のかぜの原因となるものは、
 
・ライノウィルス
・コロナウィルス
・RSウィルス
 
などですが、
 
「夏かぜ」の原因となるものは
 
・アデノウィルス
・エンテロウィルス
・コクサッキーウィルス
 
が代表的なものです。




【症状】
鼻水、鼻づまり、ノドの痛み、発熱、頭痛などですが、
炎症が下気道(気管支、肺)にまで広がると咳や痰が見られるようになります。
熱

「夏かぜ」の特徴は、腹痛、下痢などの胃腸症状が多いことです。
腹痛





【特殊な夏かぜ】


1、咽頭結膜熱

アデノウィルスが原因で起こり、プールでの感染が多いことから
「プール熱」とも呼ばれます。子供に多い疾患ですが、
大人が感染すると重症化しやすいので注意が必要です。
プール

2、手足口病

エンテロウィルスが原因で起こり、子供に多く、
手・足・口に水泡性発疹がみられます。熱は高くありません。
手足口病



3、ヘルパンギーナ

エンテロウィルスやコクサッキーウィルスが原因で起こり、
高熱、口の中やノドの水泡が特徴です。
水泡は潰れると痛み、食事ができず脱水症になることもあります。
やはり子供に多い疾患です。




【夏かぜの予防と治療】
 
1、安静にして、栄養や水分、十分な睡眠をとる。
 

2、手洗い、うがいの励行
 

3、湿気を取り除く。

冬のかぜを引き起こすウィルスは乾燥を好みますが、
夏かぜを引き起こすウィルスは高温多湿を好みます。
湿度計

4、体を冷やしすぎない。
氷

5、「気のゆるみ」は禁物です。
 
私は子供のころ、かぜをひくのは決まって日曜日や休みの日でした。
 
 
【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

『逆流性食道炎』

食道に胃液や食べ物が逆流して胸焼けなどを起こす病気です。

胃と食道の間は、食道括約筋の働きで本来は逆流しないようになっていますが、
何らかの原因でその働きが低下すると発症します。

食道は胃と違い、強い酸性の胃液から粘膜を守ることができないため、
逆流した胃液は食道に炎症を起こします。

胃を逆流

【原因】
1、加齢
2、胃の一部が横隔膜を越えて食道の方に出ている(食道裂孔ヘルニア)
3、姿勢の悪さ(ねこ背、亀背)
4、肥満
5、食べ過ぎ、脂っこい食事
6、腹部を強くしめつけるような衣類

【症状】
胸やけ、ゲップ、胃酸の逆流、食べ物のつかえ感、
締めつけられるような胸の痛み、慢性的な咳など

胃もたれ

【治療】
薬物療法(胃酸の分泌を抑える薬)が有効

薬

【日常生活での注意点】
1、普段から背筋を伸ばし、前かがみにならないように心がける。
2、ベルトや下着などでお腹をしめつけない。
3、肥満の解消
4、脂っこい物を摂り過ぎない。
5、早食い、食べ過ぎをしない。
6、お酒、タバコは控える
7、就寝中は上半身を少し高くする。
8、食後すぐに横にならない。

良い姿勢

「食べてからすぐ寝ると牛になるよ。」と、子供の頃よく親に言われました。
牛は餌を口と胃の間で往復させて噛み砕く「反芻(はんすう)」を行います。

牛

今思えば、これは行儀が悪いことを叱るだけでなく、
逆流性食道炎を予防する意味もあったのかもしれませんね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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『ヒートショック』
冬場は入浴中に亡くなる事故が多発します。

その数は年間約15,000人といわれ、
交通事故による死亡者の3倍です。

暖かい部屋から寒い浴室へ移動すると、
血管が収縮して血圧が急に上がります。
そして、お湯につかると血管が拡がって血圧が急に下がります。

ヒートショック

このように急激な血圧の変動によって身体に衝撃を及ぼすことを

「ヒートショック」

と呼び、入浴中に意識を失って溺死したり、
心筋梗塞や脳卒中を起こすこともあります。
とくに高齢者や高血圧、糖尿病、不整脈などの持病がある人は要注意です。

風呂で溺死

対策、注意事項としては、

1、浴室や脱衣室を温かくしておく。

室内と浴室、脱衣室の温度差は10℃以下にすることが望ましい。

浴室暖房乾燥機の設置、お風呂に入る前にしばらく浴槽のフタを開けておいたり、暖かいシャワーで洗い場を流す、浴室の床にマットやスノコを敷いておく等の工夫が必要です。

浴室暖房

2、お風呂の温度は、低め(40度以下)に設定する。

3、ゆっくりとお風呂に入り、ゆっくりと出る。

4、長湯をしない。

5、入浴前にアルコールは飲まない。

アルコール禁止

浴室はリビングルームなどから
少し離れた場所にあることが多く、
もし気分が悪くなった時、
たとえ同居している家族がいたとしても
すぐに助けを呼ぶことが難しいのが現状です。
一人暮らしの高齢者であればなおさらです。


高齢者の入浴を見守る方法としては、
外部と会話できるようなマイクや緊急通報ボタンなどもありますが、
最も有用なものは「見守りカメラ」です。

カメラ

とは言っても、入浴中の姿をずっと監視されるのは
いくら高齢者でも抵抗があって、
なかなか普及には至らないようですね。

私も実は一人暮らし高齢者の仲間ですので他人事ではありませんが、
お風呂はゆっくりと安心して入りたいものですね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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『新型コロナウィルス感染症闘病記』

新型コロナウィルス感染症もなかなか収まりません。

このウィルスは次々と変異し、
今までにアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株などが登場し、
現在はほとんどがオミクロン株です。

ウィルス

実は私自身も、先日とうとう感染してしまいました。

始まりは「息切れ」でした。
何もしていないのに、
走った後のような動悸が続き、
その後のどに違和感を覚え、
だんだん痛みが強くなってきて咳も出始めたため、
抗原検査を行ったところ、コロナ陽性でした。

仕事柄一般の人よりは感染リスクが多いのはたしかですが、
少し油断があったのかもしれません。
その日から1週間仕事を休まざるを得なくなり、
患者さんたちに迷惑をかけてしまいました。

ワクチンを4回接種済みだったこともあってか、
それほど発熱もせず比較的軽症だったことは幸いしましたが、
のどの痛みには閉口しました。

のど痛い

それでも1週間めにはかなり改善し、
保健所から外出許可が出たので、仕事も再開しました。

オミクロン株対応ワクチンの接種も始まっていますが、
コロナウィルスも生き残りに必死でしょうから、
オミクロンの次はどんな株で対抗してくるのでしょうか。

ウィルスの誕生は30億年前とも言われています。
これに対して人類の誕生はたかだか500万年前ですので、
人類は誕生した時からウィルスと戦い、
また共存してきました。

これからも「ウィズコロナ」、
「ウィズウィルス」で乗り切っていくしかありません。

発症から1ヶ月が過ぎましたが「のどの違和感」や「咳」がなかなか治りません。
これがいわゆる「コロナ後遺症」というものでしょうか。

「嗅覚・味覚障害」や、
「記憶力低下」「集中力低下」などの
精神障害が強く残る人もいるようです。

私も「記憶力低下」や「集中力低下」があるので、
これも後遺症かなあと思ったのですが、
これはよく考えるとコロナ発症前からありました。


【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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『ダニの話』

夏場はダニが繁殖しやすく、人に危害を加えるものもあります。


1、ツメダニ
布団、枕、じゅうたんなどに住みつき、人のフケやアカや髪の毛を食べる。ヒョウダニという小さなダニを餌にしており、人を刺します。

布団とダニ


2、イエダニ
ネズミに寄生するので、比較的古い家に住みつき人を刺して吸血します。
ツメダニもイエダニも、太ももやお腹、上腕の内側など、柔らかい部位をし、激しいかゆみが生じます。また、ダニの死骸などによるアレルギー反応で、鼻炎やぜんそくなどを引き起こすことがあります。


3、マダニ
屋外にいる体長5~10mmにも及ぶ大きいダニで、人を刺して吸血します。
唾液に麻酔作用があるため、刺されたことに気づかないことがあります。
まれに「重症熱性血小板減少症候群」や「日本紅斑熱」という重篤な疾患を引き起こすことがあるので要注意です。

マダニの吸血前と吸血後
(マダニの吸血前と、吸血後の図)


4、ヒゼンダニ
皮膚の角質層に寄生し、「疥癬(かいせん)」という皮膚病の原因になります。高齢者施設などで集団発生することがあります。


〈ダニから身を守るには〉

1、室内を清潔にし、ダニが繁殖しやすい状況(高温多湿)を避ける。
2、じゅうたんや布製ソファを避け、できればフローリングの床にする。
3、床や畳の掃除機かけ、寝具への掃除機、乾燥機かけは頻繁に行う。
4、シーツ、枕カバー、パジャマなどをこまめに洗たくする。
5、室内でのペット飼育はなるべく避ける。
6、山や草むらなどに行く際は、肌の露出をなるべく少なくする。
7、マダニに刺された時に無理に自分で取ろうとすると、噛みついた口の部分が体内に残ってしまうことがあるので、必ず医療機関を受診すること。


これを書いていたら、何だか体がかゆくなってきました。早速、じゅうたんに掃除機をかけて、シーツとパジャマを洗たくしようと思います。


【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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「メタボリック症候群」
肥満には、内臓のまわりに脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満(別名、リンゴ型肥満)と、腰や殿部の皮下に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満(別名、洋ナシ型肥満)があります。とくに「内臓脂肪型肥満」は、さまざまな病気の原因になるので要注意です。
内臓脂肪

内臓脂肪型肥満は、腹囲(へそ周り)で判断し、男性は85cm以上、女性は
90cm以上です。これに加えて下記の2つ以上の項目があてはまると「メタボリック症候群」と診断されます

1、収縮期血圧130以上、拡張期血圧 85以上のいずれか

2、空腹時血糖値110mg/dl以上

3、中性脂肪150mg/dl以上、HDL-コレステロール40mg/dl未満のいずれか

メタボリック症候群になると動脈硬化が進み、高血圧症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病になりやすくなるばかりでなく、腰痛症、逆流性食道炎、さらには大腸がん、肝臓がん、乳がんなどの原因にもなります。

メタボリック

内蔵脂肪を落とすために

内臓脂肪蓄積の原因として、遺伝的素因やホルモンの乱れなどもありますが、何と言っても「食べ過ぎ」と「運動不足」が最大の原因です。

1、食事

1)食べるのを控えた方がよいものとして、牛肉や豚肉の脂などの動物性肪、揚げ物類、炭水化物や糖分の多い食材、とくに果物は要注意です。

2)積極的に食べた方がよいものとしては、野菜(食物繊維)、海藻類、玄米、大豆製品、サバ、イワシ、サンマなどのEPA、DHAが豊富な魚などです。

2、運動

1)有酸素運動(ウォーキング、水泳など)。例えば、息がはずむ程度の運動を30分間、週に5日以上、あるいは1日の歩数を3000歩増やす。

2)筋肉トレーニング(スクワット、腕立て伏せ、腹筋運動など)

私も最近ベルトがきつくなってきたので、努めて歩くように心がけています。

昨日もがんばって7000歩ぐらい歩きましたが、お腹がすいたのでトンカツをお腹いっぱい食べて、おまけに生ビールを飲んでしまいました。

とんかつ

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

【腱鞘炎】​
意外と思われるかもしれませんが、手の指には筋肉がありません。​

我々が指を動かす時には手のひらと腕にある筋肉を使っています。それらの筋肉は手首や指の関節をまたいで指先まで「腱」というヒモで繋がっており、そのヒモがずれないように包んでいるものが「腱鞘」です。​

指を動かす時、「腱」と「腱鞘」がこすれ合いますが、負担がかかり過ぎると炎症を起こし、「腱鞘炎」になります。​

原因は手首と指の使い過ぎで、長時間キーボードを操作したり、楽器(とくにピアノ)の演奏、スポーツや家事などで反復して手指を動かす人に多く発症します。代表的なものが「ドケルバン病」と「バネ指」です。​

1.ドケルバン病​
親指の背側には2本の腱があり、親指を伸ばしたり広げたりする働きをしています。この腱の腱鞘に炎症をきたしたものが「ドケルバン病」です。​

手を広げたり、親指を動かしたり、ペットボトルの蓋を開ける時などに、手首の親指側にズキズキした痛みが起きます。​

2.バネ指​
指に起こる腱鞘炎で、指の付け根の手のひら側の痛みや腫れをきたします。指の曲げ伸ばしの際、引っかかりを感じ、ひどくなると指を動かせなくなります。症状は朝方に悪化することが多いのが特徴です。​

腱鞘炎

治療と予防は、​

1、手首や指の安静。テーピングやシーネで固定することもあります。​

2、手首や指を温める。​

3、痛みに対しては、軟膏や湿布などの外用薬を使ったり、症状がひどい場合は​
  ステロイド注射をすることもあります。​

4、重症の場合は、手術で原因となっている腱鞘を切開します。​


私の知り合いに、YouTubeで熱心にピアノ演奏の動画を送ってくださる方がいらっしゃいますが、腱鞘炎を起こしていないか心配です。

【痛風の話】
 
 痛風は、血液中の尿酸値が高くなることによって起きます。尿酸は、細胞の核酸の主成分であるプリン体が分解されてできる老廃物で、いわば細胞のゴミです。このプリン体は80%が体内で作られますが、20%は食べ物由来です。

 高尿酸血症の原因は、食生活などの外因性の要素が3割、体質や遺伝による要素が7割といわれています。

 高尿酸血症が数年間続くと尿酸塩結晶が関節内に付着し、その一部がはがれると急性関節炎を起こし、激しい痛みを引き起こします。これがいわゆる「痛風発作」です。足の親ゆびの付け根に起こることが多いですが、足首、かかと、ひざ、手首、肘などに起こることもあります。

痛風

 また高尿酸血症は痛風だけでなく、尿が酸性になることによって尿管結石症や腎機能障害をきたすこともあるので要注意です。

腎機能障害

【痛風の予防】

1、プリン体が多い食材を控えめにする。
  例えば、レバー、エビ、カツオ、あん肝、白子、魚の干物類等です。

2、飲酒を控える。
  アルコールは、それほどプリン体が多いわけではありません。

 ただ、お酒の中ではビールが一番多くプリン体を含んでいますので、
 ビールよりは焼酎、ウイスキーなどの方がまだましですが、
 アルコールがよくないのは、それが分解される時にできる乳酸が、
 尿酸を排泄する腎機能を抑えてしまうからで、
 やはりお酒は全般に控えめにした方が無難です。

ビール

3、水分を十分に摂る。

4、尿をアルカリ化するために、野菜、海藻類、牛乳などを積極的に摂る。

野菜ソムリエ

5、激しい運動は避け、有酸素運動(ウォーキング、水泳等)をする。

6、肥満を避ける。

肥満

 痛風はその名のとおり強烈な痛みを伴う病気ですが、昔から「ぜいたく病」ともいわれ、さらに患者さんの98%は男性であることから、とくに女性からはなかなか同情が得られないのがつらいところですね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)''''医学博士・大久保外科/消化器科院長】
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【糖尿病にならないために】

 食事をすると血糖値が上がりますが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって血糖値は常に一定に保たれています。しかしインスリンが少なくなったり、うまく働かなくなると「糖尿病」になります。

インスリン

 糖尿病には1型と2型の2種類があります。1型糖尿病は、免疫の異常で膵臓からインスリンが全く出なくなった状態です。2型糖尿病は、遺伝的な要因に加え、食生活の乱れや運動不足による肥満などによってインスリンの働きが悪くなった状態で、糖尿病全体の9割以上を占めます。

 糖尿病が進行し高血糖状態が続くと、全身の血管や神経に障害が起きます。

 眼の血管が障害されると「糖尿病性網膜症」になり、腎臓の血管が障害されると「糖尿病性腎症」になり、進行すれば腎不全となって人工透析が必要になることもあります。末梢神経が障害されると四肢の運動・知覚障害を来たします。ほかにも心筋梗塞、脳梗塞、認知症などの発症リスクが高まります。

人工透析

 糖尿病の治療や予防には食事と運動が大切です。とくに肥満傾向のある人は「標準体重」を目指してください。

体重計

 標準体重(kg)は、身長(m)×身長(m)×22で計算します。

 具体的には、糖質、炭水化物の摂取を減らし、タンパク質、食物繊維(野菜、海藻、きのこなど)を中心とした食生活を実践してください。また間食を避ける、ゆっくり食べることなども大切です。

タンパク質 野菜

 運動は、ウォーキング、水泳などの「有酸素運動」を基本とし、できれば「筋トレ」「ストレッチ」などを加えると理想的です。

ローラー スクワット

 現代人は「食べ過ぎ」の傾向にあります。「食べ過ぎ」は慢性的に血糖値が高い状態であり、糖尿病を発症するリスクが高いばかりでなく、さまざまな病気の原因にもなります。

肥満

 お勧めは、時々でよいので半日~1日何も食べない時間、つまり「空腹の時間」を作ることです。細胞が生まれ変わり、体のリセット効果が期待できます。

 私の知り合いに、いつも「腹ペコ」なご夫婦がいらっしゃいますが、お二人ともとてもお元気です。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】

大久保外科/消化器科

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私の専門は外科です。

大久保忠俊

「外科」というとケガを治療するところというイメージがありますが、正確には疾病を主に手術で治療するのが「外科」です。もちろんケガの治療もします。

手術
 16世紀頃の欧米では、まだ手術手技や麻酔法が発達していなかったこともあり、ケガの治療は何と床屋さんが行っていました。その名残として、今でも床屋さんの店先にある赤・青・白のサインポールは、動脈・静脈・包帯を意味していると言われています。

床屋
 19世紀以降、麻酔法が確立されてから「外科」は急速に発展しました。

 私も勤務医時代には、胃がんや大腸がんなど主に消化器系のがんの手術を行っていました。当時は早期の癌でも再発のことを考えて、病巣部をできるだけ大きく切除することが常識でした。そのためお腹のキズも大きく、癌は再発しないまでも、術後の合併症に苦しむ患者さんも少なくありませんでした。

 しかし最近の医学の進歩は目ざましく、お腹に小さな穴を数カ所開けて、そこから腹腔鏡を入れて手術したり、早期の癌なら手術せずに内視鏡的に切除できるようになりました。お腹のキズも小さく、ほとんど跡が残りません。進行した癌でも、術後の抗がん剤や放射線治療などで完治する人が増えています。

腹腔鏡

 外科手術は執刀医の他に、助手の外科医、麻酔科医、手術専門の看護師など数人でチームを組まなければなりませんので、開業してからは残念ながら大きな手術はできません。したがって、局所麻酔でできる小手術やケガ(外傷)の治療が今の私の外科医としての主な仕事です。

手の怪我

 簡単な手術でも、小さなケガでも、治療法を誤ると化膿して長引いたり、キズ跡が残ったりしますので、できるだけていねいに、痛くないように、きれいに治すよう心がけています。

 最近は「絶対に失敗しない」美人女性外科医もいるようですが、何と言っても世界一の天才外科医といえば、ブラック・ジャックでしょう。

 実は私自身も、先日転んで額を数針縫うケガをしてしまいました。残念ながらキズ跡が残ってしまい、幸か不幸かブラック・ジャックに似てきました。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】

大久保外科/消化器科

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【新型コロナウィルス】
 新型コロナウィルスの感染者が世界中で広がっています。

 現在知られているコロナウィルスは約40種類ありますが、ヒトに感染するものは今まで6種類報告されていました。そのうちの4種類はふつうの風邪のウィルスで、残りの2種類は2002年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)と、2012年に流行したMERS(中東呼吸器症候群)を引き起こしたウィルスです。

 今回中国武漢市で発生したものは、ヒトに感染する7番目のコロナウィルス(2019-nCoV)ということになります。

 治療薬はまだありません。抗HIV治療薬や抗インフルエンザ治療薬の一種などが有効であるという情報もありますが、まだ確立されていません。

予防策としては、

1、栄養と休養をきちんととり、体の抵抗力をつけておく。

2、多くの人が集まる場所へ不必要に出かけない。
(お酒が好きな人にとってはつらいですが、しばしの我慢です。
家の中で音楽を聴いたり、ギターやピアノの練習をして過ごしましょう)

3、空気が乾燥するとノドの粘膜の防御機能が低下するので、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことと、こまめに水分を補給すること。

4、手洗い
(石鹸で20秒以上の手洗いを頻回に行う。あるいは、アルコール含有率60%以上の手指消毒液を使用する。)

5、手洗いしていない手で、目、鼻、口をなるべく触らない。

6、マスクの着用
(すき間がないようにしっかり覆う、なるべくつけたり外したりしない、マスクの表面には触れない)

7、咳エチケット
(咳やくしゃみをする際、ティッシュ、ハンケチなどで口や鼻をおさえる)

先日、ある所で不用意に咳をしてしまったら、周りの人達からいっせいに冷たい目で睨まれてしまいました(汗)。気をつけましょう。

手洗い

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

【骨粗鬆症】
「骨粗鬆症」とは、骨の量が減ってスカスカになってゆく病気です。
高齢女性に多く、50歳以上の女性の25%に発症すると言われています。
画像の説明

1、原因
「加齢」「女性ホルモンの欠乏」「生活習慣」の3つが考えられます。
健康な骨の維持には、骨の形成と吸収の代謝バランスが鍵となります。
女性の場合は、閉経により骨の分解を抑制するエストロゲンという
ホルモンの分泌が急速に低下し、骨の形成が吸収に追いつかなくなるのです。
このほか無理なダイエットや偏食により、カルシウム、タンパク質、
ビタミンD、ビタミンKなどが不足すると、骨量が減りやすくなります。

2、症状
自覚症状はほとんどありませんが、問題となるのは骨折しやすくなることです。それに伴って様々な症状があらわれます。
骨折の起こりやすい部位は、脊椎(ほとんどが圧迫骨折)、大腿骨頸部
(脚の付け根)、橈骨遠位端(手首)などです。
脊椎圧迫骨折の場合は、腰背部痛、腰が曲がる、身長が縮む等の症状が
あらわれます。大腿骨頸部骨折の場合は、これをきっかけに「寝たきり」になることも多く、20%が1年以内に亡くなるともいわれています。

3、治療および予防
1)食事:カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質が大事です。
  魚、乳製品、大豆製品(豆腐、納豆など)、きのこ類、黄緑色野菜、海草
  類を積極的に摂取し、塩分、アルコール類は控えめしましょう。
2)運動:ウォーキング、スクワットなどで積極的に体を動かしましょう。
  その際、適度に日光を浴びることにより、身体の中でビタミンDがつく
  られ、腸管からのカルシウムの吸収が高まります。
3)薬物:ビスホスホネート、副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD等
4)転ばないこと。これが一番大事かもしれません。

それにしても、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という病名は、言いにくいし、字も難しいですね。いつも来てくれるおばあちゃんは、自分の病気を「骨故障症」だと思い込んでいます。たしかに、この方がいいかも(笑)

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

【帯状疱疹】
帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、体の片側に痛みを伴う小さな赤い水ぶくれが帯(おび)状にあらわれる病気です。
かゆみ

原因は、ヘルペスウィルスの1種である「水痘・帯状疱疹ウィルス」です。
子供の頃にこのウィルスに感染すると「水痘(水ぼうそう)」になります。
そして、水痘が治った後も、このウィルスは脊髄の神経節の中で生きています。

ふだんはおとなしく潜んでいますが、加齢、過労、ストレスなどで免疫力が低下すると再び暴れだし、神経を伝わって皮膚に顔を出して「帯状疱疹」として発症します。

50歳代から発症率が高くなり、生涯3人に1人がかかると言われています。  

最初はピリピリとした痛みを体の左右どちらかに感じ、数日後に皮膚に赤い斑点があらわれ、その後小さな水疱となり、いくつか集まって体の片側に帯のように広がっていきます。

「胸背部」に最も多く、次いで「腹・腰」「顔・頭」「上下肢」の順です。

ふつうは3週間程度で治りますが、発疹が消えた後にもピリピリとした痛みが長期間つづくことがあります。

一度かかると免疫がついて再発することはまれですが、抵抗力が弱くなった時に再発することもあります。

治療は、抗ウィルス薬の内服や注射が主体ですが、痛みが強い時は鎮痛剤を投与します。できるだけ早く開始することが大切です。

栄養、睡眠を十分にとるなどして体力の回復に努めることも大事です。

帯状疱疹が他の人に伝染することはほとんどありませんが、水痘にかかっていない子供に水痘として伝染することがあるので注意が必要です。

予防にはワクチンが有効です。対象は50歳以上の人です。
ワクチン

それにしてもこのウィルス、無断で人の神経に住みついて、人が弱ってきたら暴れ出すとは不届き千万ですね。でも彼らにしてみれば、家主が弱って死んでしまったら大変なので、あわてて逃げ出そうとするんでしょうね。

我々人間は、自分のためにも、ウィルスのためにも元気でいることが大事ですね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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【腰痛・ギックリ腰】

「人間のいるところには腰痛あり」
と言われるほど腰痛で悩む人は多いですね。
あのウサイン・ボルト選手も腰痛持ちだそうです。
腰痛
腰痛には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など
原因がはっきりしているものもありますが、
大部分は原因がはっきりしないものです。

重い物を持ち上げた時などにおこる
「ギックリ腰」も、実は原因がはっきりしていません。

私も、咳をした途端に「ギクッ」となって動けなくなったことがあります。

【腰痛を予防するためには】
1、同じ姿勢を長くとることを避けましょう。
  長時間前かがみの姿勢とっていたら時々腰を反らす運動を、
  反対に長時間立っていた時などは腰に
  反りぎみの負担がかかっているので、
  背中を丸める運動をしてください。

2、ふだんから適度なスポーツ
  (ウォーキング、ストレッチ、筋トレなど)をして
  腹筋、背筋、下肢の筋肉を鍛えておくことも大事です。

3、ストレスも腰痛の大きな原因です。
  人間には、痛みを感じると脳から
  ドーパミンやオピオイド(いわゆる脳内麻薬)が分泌され、
  痛みを和らげるように働く力が備わっています。
  しかしストレスが多いと、このシステムが
  うまく働かなくなり、腰痛も改善されません。

4、咳やくしゃみをする時は、
  壁や机に手をつくようにしましょう。

5、肥満があれば解消しましょう。

【不幸にも腰痛を来してしまった時は】
1、まずは安静。
  ただし痛みが和らいできたら、
  むしろ積極的に体を動かすようにしましょう。

2、コルセット等で腰を固定。
  ただし漫然と装着しないで、
  痛みが治まってきたらなるべく早く外してください。

3、入浴などで腰を温めたり、
  適度なマッサージをすることも有効です。

4、鎮痛剤の内服、注射、湿布等で痛みを和らげるのも1つの方法です。

ギックリ腰のことを、ドイツでは「魔女の一撃」と言うそうですよ。
恐ろしいですね。
魔女

でも「魔女の宅急便」のキキのような可愛い魔女だったら、
一撃されてもいいかなあ。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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【音楽と健康】
音楽が心身の健康に役立つことは、
古くから知られていました。

旧約聖書には、
羊飼いの青年が奏でるハープの調べが
王様のうつ病を治したとの記載があります。

臨床の現場でも、
心身症、認知症、統合失調症など、
さまざまな場面で「音楽療法」が行われ、
専門の音楽療法士も活躍しています。

音楽によって得られる健康効果には次のようなものがあります。

1、リラックス効果
人間の脳波は、
緊張のないリラックス状態の時にはアルファ波、
活動している時や頭脳を使っている時にはベータ波が出ていますが、
音楽にはアルファ波を誘って気持ちを落ち着かせる効果があります。

2、ストレス解消効果
音楽は脳や自律神経に作用し、
快感をもたらしてくれるドーパミンの分泌を促し、
逆にストレスホルモン(コルチゾール)を減少させます。

3、免疫力増強効果
音楽を聴きつづけることによって、
免疫をつかさどる抗体(免疫グロブリン)が増加したという
研究データがあります。

では、どんな音楽がよいのでしょうか。

よく「モーツァルトがいい」などと言われますが、
やはり自分が心地よいと感じる音楽がいいと思います。

注意しなければいけないのは、
気持ちの沈んでいる人に、元気を出そうとして、
いきなり陽気な楽しい音楽を聴かせるのは逆効果です。
むしろ暗い短調の曲から始めて、

共感し心を開きはじめたら
次第に明るい音楽で活性化を目指すことが大事です。
これを「同質の原理」といいます。

また音楽は聴くだけでなく、
楽器を演奏したり、
歌を歌うことも効果があります。
「歌声喫茶」などお勧めです。
昼下がりのモンターニュ歌声喫茶
(モンターニュ石原店 昼下がりの歌声喫茶の様子)

最近、「非可聴音」が脳を活性化するという研究がされており、
生活習慣病などの予防・治療に効果があると言われています
(参考:大橋力著「ハイパーソニック・エフェクト」)。
馨の森の音楽会 非可聴音の魅力
(馨の森の音楽会 非可聴音の魅力をクローズアップしたコンサート)

これから大いに期待できる分野ですね。

非可聴音?聴こえない音・・・?

そういえば私も時々聴こえるはずのない音が聴こえます。
特殊な能力?それとも幻聴?
認知症の始まり・・・??

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

食中毒は細菌とウィルスによるものがほとんどですが、高温多湿な夏は細菌による食中毒が多く発生します。

主な原因菌は、「カンピロバクター」、「腸管出血性大腸菌(O-157等)」、「サルモネラ菌」、「腸炎ビブリオ」、「ボツリヌス菌」、「黄色ブドウ球菌」などです。

過去には1996年に大阪府堺市で、2012年には北海道でO-157による集団食中毒が発生しました。
食中毒
食中毒の症状は、「腹痛」、「嘔吐」、「下痢」の3つが主なものですが、菌の種類によっては「発熱」、「頭痛」などが現れることもあります。

O-157は、強い毒素(ベロ毒素)を持っているので、血便を来たし、重症になると「溶血性尿毒症症候群」を起こして死亡することもあります。

食中毒菌は、食品中で増えても色や味が変わることもなく、においもしないので、気づかずに体の中に入り込んでしまいます。


食中毒の予防3原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」です。

1、菌をつけない

調理を始める前や食卓につく前には十分に手を洗いましょう。生の魚介類や肉類には菌が多く付着しています。調理中に肉や魚や野菜など食材を変えた場合にも、手を十分に洗い調理器具を交換しましょう。

2、菌を増やさない

肉や魚などの生鮮食品は、買い物の最後に購入し、できるだけ早く持ち帰って冷蔵庫に入れましょう。冷蔵庫には食品を詰めすぎないようにして、作った料理は早めに食べましょう。

3、菌をやっつける

憎っくきバイ菌は、徹底的にやっつけましょう。食材は十分に加熱し(75℃以上で1分以上加熱すればO-157はもちろん、ほとんどの菌は死滅します)、肉や魚、卵などを扱った後の調理器具は洗剤でよく洗ってから熱湯で殺菌しましょう。
  
ただし、アンパンマンの天敵「バイキンマン」は同じ細菌の仲間ですが、ドジで、あがり症で、可愛い女性にめっぽう弱くて、誰かと似ているで、あまりいじめては可哀そうです。

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【高血圧の話】
血圧とは、心臓から送り出された血液が、動脈の壁を押す圧力のことです。
心臓が収縮して最も高くなった時が収縮期血圧(上の血圧)、心臓が拡張して最も低くなった時が拡張期血圧(下の血圧)です。一般的に、140/90以上が高血圧とされています。

血圧

上の血圧が高いのは、心臓に近い太い動脈の動脈硬化が進んでいることを意味し、下の血圧が高いのは、心臓から遠いところにある細い血管の緊張が強くて、将来動脈硬化が進んでゆくことを意味しています。

日中は血圧を上げる交感神経が働き、夜間は血圧を下げる副交感神経が働くため、日中に比べて夜間の血圧が低いのが普通です。逆に、夜間や早朝に血圧が高くなる人は要注意です。脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

また、家庭で測る血圧に比べて病院で測る血圧の方が高いことが多く、「白衣高血圧」と呼ばれます。逆に、病院では正常なのに家庭では高いという人もいて、これを「仮面高血圧」と呼びます。タバコを吸う人に多いようです。

高血圧症には自覚症状がありません。頭痛や肩こりなどがあると高血圧を心配する人がいますが、直接的な関係はありません。

このように高血圧症は、症状もなくゆっくり進行し、さまざまな合併症をひき起こすため、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれています


【高血圧症の予防、治療】
1、塩分の制限:日本人の1日の平均塩分摂取量は約13gですが、高血圧症の人は6~8gにするのが理想です。
2、血圧を下げる作用のあるカリウムが豊富な野菜、果物を摂りましょう。
3、ウォーキング、水泳などの有酸素運動をしましょう。
4、肥満を解消しましょう。
5、禁煙し、お酒は控えめにしましょう。
6、ストレスをためないよう心がけましょう。

「人は血管とともに老いる」と言われます。血管の老化すなわち動脈硬化を防ぐためにも、血圧を上げないように心がけましょう。


お酒もタバコもやめず、運動もせず、
喫煙
「血圧が下がらない」「薬が効かない」と不満を言う患者さんがいるので、
私はストレスで血圧が上がりっぱなしです。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
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【認知症】

認知症の人が増えています。

認知症は、記憶したり判断する力がおとろえ、社会生活に支障をきたすようになった状態です。原因によっていくつかに分類されますが、代表的なものが、「アルツハイマー病」で、脳の神経細胞が障害されて脳が萎縮する病気です。

認知症の初期には、少し前の記憶がなくなるという症状が現れます。

前日の夕食で何を食べたかわからなくなったり、大切な約束を忘れたり、同じことを何度も言うようになります。いろんな物の「しまい忘れ、置き忘れ」も増え、いつも探し物をしているといった傾向があります。
 
今まできちんとしていた人が、身だしなみをあまりかまわなくなったり、趣味や好きだったことにも興味を示さなくなります。

家事や料理などでの失敗も増えるので、苛立ったり、落ち込んだりします。

認知症が進行すると、日付や季節がわからなくなり、天候や季節に合わせて衣服を選ぶことができなくなります。いつも通る道でも迷ったり、幻覚(居ないものが見える、聞こえる)や妄想(お金などを盗まれたと人を疑う等)が起こることもあります。

認知症もやはり、「早期診断・早期治療」が大事です。変だな?と思ったら、早めに専門医を受診させてください。

認知症の治療薬もいくつかありますが、現在はまだ進行をゆるめる程度で、根本的に治すものはありません。しかし、PETなどの画像診断や血液検査で早期診断ができるようになり、よい薬も次々と開発されていますので、認知症が治る時代が来るかもしれませんよ。

認知症をできるだけ予防するためには、

画像の説明

・バランスのよい食生活
・十分な睡眠
・適度な運動

を心がけ、

・文章を書いたり読んだりする知的作業
・楽器の演奏、絵を描く等の芸術活動

などを積極的に行うようにしてください。

また常に好奇心を持ち、新しいことにチャレンジすることも大切です。

私も最近、物忘れが多くなってきたので、認知症予防のためにもギターの練習と、このコラムの執筆は続けなければいけませんね。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
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【コレステロールの話】

食欲の秋ですね。ついつい食べ過ぎてしまいがちですが、
コレステロール値が気になるという方も多いのではないでしょうか。

コレステロールというと、悪者のイメージが強いのですが、
実は細胞やホルモンなどの材料になる大切な物質です。

コレステロールは脂質なので、そのままでは血液に溶け込むことができません。
そこで血液となじみやすいタンパク質に包まれて血液中を流れています。
このタンパク質には、

・低比重リポたんぱく(LDL)
・高比重リポたんぱく(HDL)

の2種類があります。

低比重リポたんぱくに包まれたコレステロール(LDLコレステロール)は、
肝臓から出発して、体の各細胞にコレステロールを運びます。

高比重リポたんぱくに包まれたコレステロール(HDLコレステロール)は、
全身の細胞から、余ったコレステロールを回収して、肝臓に戻ってきます。

HDLは、コレステロールを回収する働きがあるので「善玉」と呼ばれ、
反対に、LDLはコレステロールを運ぶのみで回収しないため、「悪玉」と呼ばれています。

血中にLDL(悪玉)が増え過ぎたり、逆にHDL(善玉)が減り過ぎると
動脈硬化が進み、脳梗塞、心筋梗塞などを起こしやすくなります。
 
LDL(悪玉)を下げ、HDL(善玉)を上げるためには、
やはり食生活が重要です。

食事

食べ過ぎない方がよいものとしては、

・脂っこいもの(脂肪の多い肉、バターなど)
・甘いもの
・レバー
・アルコール類

等です。

卵はそれほど気にすることはありません。
すぐれた栄養食品ですので、ふつうに食べてかまいません。

逆に積極的に食べた方がよいものとしては、

・食物繊維の多いもの(野菜全般、きのこ、海藻、豆類、芋類等)

です。食物繊維にはコレステロールの吸着作用があります。
またDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含む

・青魚(あじ、さば、さんま、いわし等)

もお勧めです。

DHA、EPAは脂肪酸の1種で、血液をサラサラにする効果もあります。
もちろん適度な運動(ウォーキングなどの有酸素運動)も大事です。

実は私も、LDLコレステロール値が高くて、
いつも看護師さん達に叱られています
看護婦

この秋は、野菜をたくさん食べて、しっかり運動しようと思います。
患者さんには内緒にしておいてくださいね(笑)。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
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「夏の紫外線対策」

夏場は、さまざまな皮膚トラブルに悩まされますね。その元凶は何といっても紫外線(UV:Ultra Violet)です。

太陽光線の1つである紫外線は、とても強いエネルギーを持つので人体への影響が強く、浴び過ぎるのは危険です。一日中屋外に居てぐったり疲れてしまうのは、紫外線によって免疫機能が低下するためなのです。

紫外線は、波長の長さによってA波とB波があり、A波は皮膚の深いところまで届き長時間浴びると皮下の線維が障害され、シワができるなど皮膚の老化が早まります。B波は皮膚の浅いところまでですが、日焼け、しみ、皮膚がんの原因となります。

紫外線は、反射、散乱するので、直射光だけを避けても体に届いてしまいますし、曇りの日でも晴天時の60%強ありますので、注意が必要です。

紫外線の強さを表す「UVインデックス」は最も弱い「1」から、強い「11」まであり、6以上の時は要対策です。

また、皮膚だけでなく目にも強いダメージを与え、視力低下、白内障などの原因にもなります。


紫外線対策としては、

紫外線対策

1)紫外線が多いのは、5月から9月で特に正午前後の数時間ですので、その時間帯の外出をできるだけ避けましょう。

2)長袖シャツ、つばの広い帽子、日傘(裏地が暗い色のもの)、サングラスなどで遮光しましょう。サングラスは、暗い色のものは瞳孔が開いて、かえってたくさんの紫外線が目の中に入るので、むしろ明るい色で「UVカット」の表示のあるレンズがいいです。

3)日焼け止めクリームは、外で遊ぶ時だけでなく日頃から使うことを勧めます。

効果を示す指標として、SPF(B波を防ぐ効果:1〜50)とPA(A波を防ぐ効果:+〜3+)があります。

参考値としては、
買い物などちょっとした外出時:SPF:10〜15程度、PA:+程度
戸外で仕事やスポーツをする時:SPF:25〜35程度、PA:2+以上

   
でも、こんがり日焼けした小麦肌の女性は魅力的ですよね。小麦肌美人No.1は、安室奈美恵さんだとか。私も好きですが、歳とってからのシミやシワが心配です。

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
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春眠暁を覚えず。眠りが心地よい季節になりました。

睡眠

 では、理想的な睡眠時間とはどのくらいでしょうか。ナポレオンは3時間しか寝なかったとか、アインシュタインは10時間以上眠っていたとか言われていますが、さだかではありません。重要なのは、睡眠の量(長さ)ではなく、質です。

 現代のストレス社会では、成人の4人に1人が睡眠に関する問題を抱えていると言われています。

 理想的な睡眠環境および、快眠のための生活習慣は

&deco(red){1、日中はなるべく活動的に過ごす。(日中に太陽の光を浴びると、夜間に睡眠物質と
  言われるメラトニンが脳からよく分泌されます)
2、寝室はなるべく暗くする。(暗いほどメラトニンがよく分泌されます)
3、室温は、夏は26度、冬は16~19度、湿度は50~60%ぐらいが適切です。
4、毎日同じ時刻に起床するよう心掛けましょう。
5、少量のアルコールはよいが、飲み過ぎると逆に不眠のもとになります。
6、就寝前にストレッチ、読書、音楽鑑賞など自分なりのリラックスタイムを持つ。};
  音楽は、ゆったりしたテンポで歌の入っていないものを選ぶとよいです。
(森山雪子さんのCD「A bouquet of the new world EVO」などがお勧めです。)

 睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があります。
レム(REM)というのは、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)のことです。ヒトは眠るとまず「ノンレム睡眠」に入ります。これは脳の活動が停止した深い眠りです。ところがしばらく経つと、なぜか脳はまた活動を始めます。これが「レム睡眠」です。この時脳は覚醒時と同じぐらい活動していますが、体は眠ったままです。この周期が約1.5時間で、これが一晩に4~5回繰り返されます。

 レム睡眠中には、たいてい夢を見ていますが、つじつまの合わない奇妙な夢、追いかけられたり試験に失敗したりといった、あまり良くない内容の夢が多いようです。

「君がどんなに遠い夢を見ても、君自身が可能性を信じるかぎりそれは手の届くところにある」(ヘルマン・ヘッセ)

 こんな夢なら見つづけていたいですね。
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「ノロウィルス」

腹痛

 この時期、忘年会や新年会で、生ものを食べてお腹をこわした人もおられるのではないでしょうか。食中毒の原因のほとんどは、細菌とウィルスです。

 細菌は高温多湿を好み、食品の中で増殖するので、夏の時期に多く発生します。病原性大腸菌(O-157など)やサルモネラ菌などが代表的なものです。
 一方、ウィルスは低温や乾燥した環境を好み、人の腸の中で増殖するので、冬場に多く発生します。その代表的なものがノロウィルスです。

 ノロウィルスはもともと海水中に存在しています。カキやアサリなどの二枚貝は、その海水を体内に取り込み、ウィルスを内臓に蓄積して海水だけを吐き出しています。したがって、冬に旬を迎えるカキを生で食べたときに感染することが多いのです。

 人から人へも感染し、老人施設や保育園などで、調理人がウィルスに汚染された手で食材にさわるなどして集団発生したというようなニュースを時々耳にしますね。
 また、冬になると忘年会などで暴飲暴食することが多くなります。そんな時に誰かが嘔吐し、そこからノロウィルスが飛び散って集団発生することも多いようです。

 このウィルスは感染力が非常に高いため、感染すると1,2日で症状が出ます。主な症状は、嘔吐、下痢で、発熱はほとんど見られません。
 残念ながら、まだ特効薬やワクチンはありません。嘔吐や下痢によって脱水症になるため、十分な水分補給が必要です。点滴治療が必要になることもあります。

感染の予防としては、
1、手洗いを徹底すること。特にトイレに行った後や食前には石けんでしっかりと洗ってください。この時、タオルは共用しないでください。
2、貝類は十分に加熱して調理(85℃で1分以上)してください。
3、嘔吐や下痢をしている人にはなるべく近づかないようにしてください(やむを得ない場合は、しっかりマスクをする)。
4、患者さんの吐物や便のついた物は、次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)でしっかり消毒してください。

kaki

  生ガキは美味しいので私は大好きです。今まで一度もあたったことはありません。一説によれば、血液型B型の人はカキにあたりにくいそうですよ。ちなみに、私はB型です。

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「腸内細菌の話」

 最近、「腸内細菌」とか「腸内フローラ」という言葉をよく耳にしますね。腸内細菌を元気にする「腸活」という言葉も出てきました。
 
 腸の中には無数の細菌が住みついていて、その数何と600兆個以上、まさに天文学的な数ですね。

 顕微鏡で腸の中を覗くと、それらはまるで植物が群生している「お花畑(Flora)」のようにみえることから「腸内フローラ」と呼ばれているのです。

 腸内細菌は、体に良い働きをする「善玉菌」、悪い働きをする「悪玉菌」、どちらにも属さず、優勢な方に味方する「日和見(ひよりみ)菌」の3つに分類されます。

善玉菌

 善玉菌の代表は、「乳酸菌」「ビフィズス菌」などで、腸の運動を促進させたり、ビタミンを合成したり、体の免疫力を高めたりする働きがあります。
 
 悪玉菌の代表は、「大腸菌」「ウェルシュ菌」「クロストリジウム菌」などで、毒素や発がん物質などを産生します。

 腸内フローラの理想的な状態は、「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」とされています。
 
 加齢、食生活の乱れ、ストレスなどでこのバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、便秘や下痢などお腹の調子が悪くなるだけでなく、毒素が腸から吸収されて様々な病気をひき起こします。
  消化器の病気にかぎらず、生活習慣病、精神疾患、アレルギー疾患などとも関係します。肌荒れの原因になったり、老化も促進させます。
 
 最近「便やオナラがくさい」という人は要注意ですね(笑)。産まれて間もない赤ちゃんの腸にはまだ悪玉菌がいないので、赤ちゃんのウンチはくさくないのです。

 したがって健康を保つためには、いつも腸内環境を正常にしておく、つまり善玉菌が優勢な「腸内フローラ」にしておくことが大切です。
 
 善玉菌を増やすには、ビフィズス菌を豊富に含むヨーグルトや乳酸菌飲料が最適です。その際、善玉菌のエサになるオリゴ糖を一緒に摂るとさらに効果的です。オリゴ糖はバナナ、大豆、玉ネギなどに多く含まれています。
 
 また、豆類や海藻類、キノコなど食物繊維の多い食べ物も積極的に摂るようにしましょう。納豆やゴボウなどがとくにお勧めです。

 もちろん日常生活では、十分な睡眠をとること、ストレスを上手に発散すること、適度な運動をすることなども大切です。

 女性の皆さん、美人になりたかったらまず腸の中からきれいにしておきましょう。

女性

【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学校そば)
TEL:053-453-4598 FAX:053-453-4975

「水虫の話」

 「どんなにどんなに離れていても ぼくは君を忘れはしない
 夏になると思い出す 君と歩いたあのなぎさ」
大久保さん

甘いラブソングのようですが、これは1968年にヒットした「水虫の唄」の出だしです。

 夏本番を迎え、私の医院にも水虫の患者さんが目立つようになりました。私もかかったことがありますが、痒くて閉口しますね。また、一度かかると治りにくい、やっかいな病気です。

 水虫の正体は、実は「虫」ではなく白癬菌という「カビ」の一種です。皮膚の角質に寄生し、この成分のケラチンというタンパク質を食べて増殖します。
 「水虫」という名の由来は、昔お百姓さんが田んぼで白癬菌に感染することが多く、足が痒くなるのは、田んぼの中にいる何かの虫に刺されたと考えたからだそうです。

 水虫はカビですから高音多湿の環境が大好きで、お風呂場やプールの足マット、スリッパや靴の中などに住んでいます。そのため足にできることがほとんどです。足の趾の間がジュクジュクしたり(趾間型)、足の横や土ふまずに水ぶくれができたり(水疱型)、足の裏が硬くなってヒビ割れたようになったり(角質増殖型)、いろいろなタイプがあります。また、足の爪がボロボロになってゆく「爪水虫」も増えています。

 足以外にできるものは、部位によって独特の呼び名があります。体にできるものは、その大きさが貨幣大であることから「ぜにたむし」といわれ、赤みが輪になって周りに広がってゆくのが特徴です。股にできるものは「いんきんたむし」といわれますが、あまり品のいい呼び名ではありませんね。頭や髪の毛にもできることがあり、「しらくも」といわれます。

 水虫の予防は、
(1)毎日しっかり足を洗う
(2)通気性のよい清潔な履物を履く
(3)靴は毎日取り替えて履き、履いた靴はこまめに乾燥させる
(4)家族でバスマットやスリッパ、爪切りを使う時は別々のものにする
等です。

SAKAMOTO

 水虫は、靴を履くことのなかった時代にはあまりなかったと思われます。ただ、幕末の志士坂本龍馬は新しい物好きで早くから革靴を愛用していたとのこと、ひょっとしたら水虫に悩んでいたかもしれませんね。

「せつなくうずく水虫は 君とぼくとの愛のしるし
どんなにどんなに離れていても ぼくは君を忘れはしない」(水虫の唄)


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「花粉症」

画像の説明

 この時期、花粉症で悩まれている方も多いでしょうね。
 花粉症、とくにスギ花粉症の患者さんが年々増加しています。スギ花粉症は2月~4月ごろがピークですが、3月~5月ごろはヒノキ、5月~9月ごろはイネ、カモガヤなど、8月~11月ごろにはブタクサによる花粉症が多く発生します。

 予防対策としては、
1)花粉の飛散が多い日(温かく湿度の低い日、雨の日の翌日、風が強い日など)の外出を避ける

2)外出する時は、マスク、大きめのメガネ帽子を着用する。

3)花粉が付着しやすいウール類の衣類はなるべく避け、外出から帰ったら、髪の毛、コートなどに着いた花粉をブラシなどで落とし、うがいと洗顔をする。

4)花粉の飛散の多い時間帯(12時~15時ぐらい)の布団や洗濯物の外干しはなるべく避け、干した洗濯物や布団はよくはたいて、花粉を落とす。

5)室内を常に清潔にしておく。
  ダニ、ハウスダスト、ペットの毛などのアレルギーもけっこう多いですよ。「あなたの鼻炎の原因は、花粉じゃなくて部屋のホコリやダニです。」なんて言われたらちょっと恥ずかしいですよね。

6)適度な運動、十分な睡眠、ストレスの解消などによって、花粉と戦える身体を作ることも大切です。

 治療はなるべく症状が軽いうちに始めた方が効果的です。とくに毎年花粉症になる人は、症状の出る前から始めることをお勧めします。
 治療法としては、抗アレルギー薬の服用、点鼻、点眼など対症療法が一般的ですが、原因そのものを治す治療法として、原因物質のエキスを少量から注射して身体を慣らしてゆく「減感作療法」や、舌の下にエキスを入れる「舌下免疫療法」などがあります。


 花粉症の症状といえば「くしゃみ・鼻水」が代表的ですが、「くしゃみをすると、誰かが噂をしている」というジンクスがありますね。
 昔は、「何か良くない霊の仕業によってくしゃみが出る」と考えられていました。それで、「人が呪っている」というのが「人が噂をしている」に変化したようです。

 くしゃみの回数によって、「一に褒められ、二に憎まれ、三に惚れられ、四に風邪ひく」などとも言われますね。私は先ほど3回続けてくしゃみが出たので少し期待したのですが、その後4回め、5回めと出てしまいました。どうやら風邪をひいたようです。


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「お酒と健康」

この季節は熱燗がおいしいですね。
「酒は百薬の長」と言われ、適量の飲酒は、食欲を増したり、ストレスを発散させたり、また人間関係を円滑にするなど多くの効用があります。
 米国保健協会の調査でも、「適量のお酒を飲んでいる人の死亡率は、全く飲まない人より低い」という結果が出ています。

 適量の飲酒が死亡率を低下させるのはなぜでしょうか。
それは動脈硬化を予防するHDL(善玉)コレステロールを上昇させるからです。ワインなどに含まれるポリフェノールにも同様の作用があることが知られています。

 ただし飲み過ぎは心身にさまざまな悪影響を及ぼします。その代表が肝障害です。
 お酒(アルコール)は、胃腸で吸収され、肝臓でアセトアルデヒドという物質になり、それがアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって分解され、最終的に二酸化炭素と水になって体外に排出されます。

 アセトアルデヒドは毒性が強いため、ALDHの働きが弱い人(低活性型)あるいは全く働かない人(不全型)は、顔が赤くなったり、動悸がしたり、頭痛、吐き気などの症状が出ます。日本人の40%が低活性型、4%が不全型といわれています。
 すぐに顔が赤くなるような人は、アセトアルデヒドが解毒されにくいのですから無理して飲んではいけません。私もお酒は好きですが、どちらかというと低活性型ですので、自分のペースで飲むように心掛けています。

 飲酒による肝障害はまず「脂肪肝」から始まり、「アルコール性肝炎」「肝硬変」さらには「肝臓がん」へと進行します。
 また、飲み過ぎは肝障害だけでなく、膵炎、糖尿病、高血圧症、心疾患なども引き起こしますし、飲酒量を自らコントロールできなくなってしまう「アルコール依存症」に陥る危険性もありますので注意が必要です。

 最後に、身体にやさしいお酒の飲み方は、

 1、週2日は肝臓を休める「休肝日」を設けましょう。
 2、お酒は食事とともにゆっくりと飲みましょう。
 3、強いお酒は水割りにするか、チェイサー(強いお酒を飲んだ後つづけて飲む水など)と一緒に飲むようにしましょう。
 4、1人で飲むより、みんなで楽しく飲みましょう。
  
「ひとり酒場で飲む酒は、別れ涙の味がする♪」
(美空ひばり・悲しい酒)より、
 
「生きてゆくのが辛い日は、おまえと酒があればいい♪」
(川中美幸・ふたり酒)
  
の方がいいですね。

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「ピロリ菌と胃がん」

胃痛

 「ピロリ菌」という名前の細菌をご存知でしょうか。
この菌は胃の中に住んでおり、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。ヘリコプターのようにしっぽを回転させて移動することから名付けられました。
「ピロリ」は、胃の出口である「幽門」という意味です。

 胃の中は強い酸性であるため、ふつうの菌は生存することができません。
しかしこの菌は特殊な酵素で胃の中をアルカリ性に変化させ、酸を中和させて生きています。
 衛生環境の悪い時代に井戸水などから多くの人が感染しましたが、現在感染する機会はずっと減りました。したがって高齢者ほど感染率が高くなっています。

 「胃潰瘍」という病気は、以前は食生活の乱れやストレスで胃酸過多になることによって起こると考えられていました。しかし大部分がピロリ菌感染によって起こることが分かってからは、除菌(抗生物質等で菌を殺してしまうこと)によってほとんど治ってしまいます。
 「ストレスが多くて胃が痛いよ。」と言う人がいますが、ピロリ菌のせいかもしれ
ませんよ。

 なお近年、ピロリ菌が「胃がん」の原因になることが分かってきました。
ピロリ菌に感染している人は、そうでない人より約5倍も胃がんになりやすいと言われています。
 ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こし、それが萎縮性胃炎と呼ばれる状態になり、そこから「がん」が発生するのです。

 浜松市では数年前から全国に先駆けて胃カメラによる胃がん検診を行っています。この検診では単に胃がんを見つけるだけでなく、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎を見つけ、将来胃がんにかかる危険性をも判定しているのです。

 50歳を過ぎたら胃カメラによる胃がん検診を受け、できればその際にピロリ菌に感染しているかどうかを調べてもらってください。
 若い人も、ピロリ菌感染率は低いですがゼロではありませんので、できれば検査を受け(胃カメラをしなくても分かる方法があります)、もし感染していたら除菌治療を受けてください。
 除菌はできるだけ若いうちに行った方が胃がん予防に効果的です。

 胃がん検診とピロリ菌除菌によって、「胃がん撲滅」も夢ではないかもしれません。



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「夏ばて」

太陽

 夏まっ盛りですね。すでに「夏ばて」ぎみの人もおられるのではないでしょうか。「夏ばて」とは、暑さによって熱中症や脱水症になったり、冷たいものを多量に飲んだりすることで胃腸の働きが弱まり、食欲がなくなったり、疲れやすくなった状態のことです。

 では、「夏ばて」を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?


1. 水分を十分にとること。
  
 特に朝起きた時、寝る前、入浴の前後などにとるようにしましょう。
その際、水分と共に塩分も補給することが大事です。市販の経口補水液(OS-1、スポーツドリンク)で十分ですが、梅こんぶ茶などもいいですね。お茶は、緑茶や紅茶などカフェインが多いものより、麦茶がお勧めです。ジュースなど甘いものや冷たいものは飲み過ぎないようにしましょう。


2. エアコンを上手に使い、快適な睡眠をとるようにしましょう。
  
 外気との温度差は6℃以内にとどめ、室温は27~28℃ぐらいがお勧めです。冷え過ぎは「夏ばて」の原因になります。


3. 除湿を心掛けましょう。

 湿度は70%以下にしたいものです。


4. 風通しのよい、ゆったりした服装を心掛けましょう。

 強い紫外線は「夏ばて」の原因になりますので、外出する時は日焼け止めクリームを塗ったり、日傘帽子を使いましょう。


5. 規則正しい栄養バランスのよい食生活を心掛けましょう。

 夏ばて防止には、ビタミンB1がよいと言われています。ビタミンB1は、うなぎや豚肉、レバーなどに多く含まれており、昔から土用の丑の日にうなぎを食べる習慣がありますが、理にかなっていますね。お酢を使った料理も疲れをとる効果があります。


6. 「汗かき上手」になること。

 頭も手足も、使わなければ働きが衰えます。汗腺も同じで、いつも冷房の効いた部屋ばかりにいると汗腺の働きが衰えてしまいます。できれば、暑くなる前から積極的に運動して汗をかく習慣をつけておくことが大事です。


 以上のことに気をつけて元気に「夏ばて」を吹き飛ばしましょう。
でも「夏ばて」を無事に乗り切っても、最近は「秋ばて」「冬ばて」「春ばて」する人も増えているそうですから、1年中油断はできませんね。


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「自律神経失調症」

神経

 「体がだるい」「食欲がない」「頭が重い」「おなかの調子が悪い」などの症状で病院を受診し、あらゆる検査をやってもどこにも異常が見つからず「自律神経失調症ですね。」と言われたことはありませんか。

 自律神経とは、文字どおり自律(自動)的に働く神経のことで、心臓、胃腸など内臓の働きや、汗をかく、涙が出る、鳥肌が立つなど、我々の意思とは無関係に体が勝手に行っている活動をすべて支配しています。

 自律神経は、「交感神経」「副交感神経」という正反対の働きをする2つの神経から成り立っています。
 
 「交感神経」は、昼間働いている時、緊張している時、ストレスを感じている時などに働きます。交感神経が活発になるとアドレナリンが放出されます。「興奮してアドレナリン全開!」などと言いますね。アドレナリンは血管を収縮させたり、脈を速めたりします。
 
 「副交感神経」は、リラックスしている時、眠っている時などに働きます。胃腸の働きは副交感神経が支配しています。わかりやすく言えば、「交感神経」は自動車のアクセル、「副交感神経」はブレーキ役ですね。

 この二つの神経のバランスがうまくとれていれば問題ないのですが、どちらかが優位になり過ぎると、体にさまざまな不調が現れます。このような状態がいわゆる「自律神経失調症」です。

 とくに問題になるのは交感神経が優位になり過ぎた場合です。ストレスや緊張で交感神経が働き過ぎると、血管が収縮して血流が悪くなり、筋肉に血液が行かなくなるので疲れやすくなり、また脳の血流も悪くなるので判断力も鈍くなります。相対的に副交感神経の働きが弱くなるため、食欲がなくなったり、便秘や下痢になったり、寝つきが悪くなったりします。

 したがってこのような状態を改善するには、副交感神経の働きを高めてやればよいのです。具体的には、ゆっくりと余裕をもった行動をすることです。夜はぐっすり眠る、規則正しい食生活をする、笑顔を心掛ける、などです。

 いやなことがあったりして、口が「への字」になっているなと思ったら、意識的に口角を上げるようにしましょう。たとえ「つくり笑い」でも、それだけで副交感神経の働きは高まります。

 また、良い音楽を聴くことも副交感神経を高めるのに大いに役立ちます。
森山雪子さんの「ヤマトタケル物語」を聴きながら、腕の良い整体師にマッサージしてもらえば、もう完璧ですね。

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ワクチンの話

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 インフルエンザが流行しています。先日ついに私もかかってしまいました。「何とかの不養生」ですね。もちろん予防接種はしたのですが・・・。今シーズンは、私にかぎらず予防接種したのにかかってしまった人が多かったようです。何故でしょうか。

 インフルエンザウィルスは毎年型を変えるので、専門家がその年に流行しそうな型を予想しワクチンを作りますが、時に予想しなかった型が混じって流行することがあります。今年はそれが顕著だったようです。「それじゃあワクチンなんか無駄じゃないか」という声もありますが、やはり接種しておいた方がかかりにくいことは確かですし、かかっても軽くすみます。私もそれほど熱も出ず、2,3日ですっかり治りました。

 人間には、体内に病原体が侵入するとそれを排除する力が備わっています。しかし、はじめて侵入してきた病原体に対しては素早い反応がとれず、発症を防げないことが多いのです。でも病気が治った後、体内に抗体ができるので、次に同じ病原体が侵入してきた時には、抗原抗体反応によって発症が阻止されます。これが免疫反応といわれるものです。

 予防接種は、ワクチンを接種して免疫反応を人工的につくるものです。ワクチンとは、病原体の感染力を弱めるか無くしてしまい、かつ免疫反応を起こす
性質のみを残したもので、「生ワクチン」「不活化ワクチン」成分ワクチン」などの種類があります。

 「生ワクチン」は、毒性を弱めた病原体を生きたまま接種するもので、結核、はしか、風疹、おたふく風邪、水ぼうそうなどが代表的です。一度接種すれば終生免疫が得られ、ほとんど一生かかりません。

 「不活化ワクチン」は、病原体の感染力を完全に無くしたもので、日本脳炎、狂犬病、百日咳などです。終生免疫は期待できず、副作用も問題になります。

 「成分ワクチン」は「不活化ワクチン」のもつ副作用を少なくしたもので、インフルエンザワクチンがこのタイプです。やはり終生免疫は得られません。

Dr.大久保

 まだまだインフルエンザは猛威をふるっています。予防接種した人も安心できませんので、手洗い、うがいの励行など予防に心掛けてください。
でも患者さんに「先生にワクチン打ってもらったけどかかっちゃったよ。」と言われるとちょっと後ろめたい気分になります。「予防接種代返せ。」と言われるのではないかとビクビクしています。

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熱の話

発熱

 今マスコミで2つの熱病が話題になっていますね。
 
 1つは「デング熱」

 海外渡航の経験がない人が東京で発症し広がっています。デングウィルスによる感染症で、ヒトスジシマカという蚊が媒介します。ワクチンや治療薬はまだありませんが、ほとんど自然に治りますので、それほど恐い病気ではありません。

 もう1つは、アフリカで流行している「エボラ出血熱」

 これもエボラウィルスによる感染症で、コウモリが宿主といわれています。

進行すると口、目、鼻、胃腸などから出血し、致死率は50~90%といわれており、「デング熱」とは比べものにならない恐ろしい病気です。映画「アウトブレイク」は、このウィルスを殺人兵器に使うというサスペンス・ストーリーでした。やはりワクチンや治療薬はまだありません。日本に入って来ないことを祈りましょう。

 ウィルスや細菌に感染するとなぜ発熱するのでしょうか?

 これは、発熱することによってウィルスや細菌の増殖を抑え、また白血球の動きが活発になり侵入した外敵をやっつける、つまり生体の防御反応の一つなのです。したがって、むやみに解熱剤を使用して熱を下げることは、生体に備わった防御機能を弱めることになりますが、高熱が長期間つづくと、脳などに障害を来すこともあるため、必要最小限に使うことはかまいません。
 
 高齢になるとこの防御反応がにぶくなり、感染してもあまり熱が出ないことが多く、病気が見逃されて重症化することが珍しくありません。

 頭を使い過ぎて熱が出ると、「知恵熱」だという人がいますが、これは間違いで、ストレス等による心因性の発熱です。頑張りすぎる現代人に急増しています。本来の「知恵熱」とは、乳児が知恵のつきだす頃(生後半年~1歳ぐらい)にみられる原因不明の発熱のことをいいます。

恋の病

 ウィルス感染で熱に浮かされるのはまっぴらですが、熱に浮かされるような「恋の病」ならかかってみてもいいですね。ただ、こちらも治療薬はまだないようですが。

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「細菌とウィルス」

 5月17日土曜日の午後、私は東京の国立競技場に向かっていました。

 待ちに待ったポール・マッカートニーの公演が間もなく始まる・・はずでした。ところが会場に着いた時、信じられないアナウンスが流れてきました。
「本日のコンサートは、本人のウィルス性疾患のため中止になりました。」
唖然、呆然。その時の絶望感は言葉になりません。

 ポールを襲った憎き「ウィルス」とはいったいどんなものでしょう。
ウィルスが引き起こす病気といえば、風邪に始まって、はしか、水ぼうそう、インフルエンザ、ヘルペスなど、おなじみの病気から、肝炎、エイズ、ひいては一部の癌や白血病までさまざまです。

 ウィルスと間違えやすいもので「細菌」と呼ばれる病原体があります。混同しがちですが全く違うものです。細菌もさまざまな病気を引き起こします。食中毒、気管支炎、肺炎、膀胱炎などなど。

 ウィルスと細菌はどう違うのでしょうか?
 
 細菌は細胞を持ち、それ自体で生きてゆくことが可能ですが、ウィルスは人や動物などの生命体に寄生しないと生きてゆけません。そもそも細胞を有していないので、生物とはいえないかもしれません。

 細菌の中には我々人間に役立つ良い連中がいることはご存知でしょうか。
味噌や酒、チーズなどの発酵食品に欠かせない「酵母菌」、ヨーグルトに含まれる「ビフィズス菌」や「乳酸菌」、納豆を作る「納豆菌」などで、これらも立派な細菌です。一方「良いウィルス、役にたつウィルス」というものは聞いたことがないですね。ウィルスはあくまでも嫌われ者のようです。

 我々の立場からすると、細菌には抗生物質が効きますが、ウィルスには効かないのが大きな違いです。肝炎に対するインターフェロンやインフルエンザに対する抗ウィルス薬などが開発されて、それなりの効果をあげていますが、まだまだ治療に苦労することが多いのが現状です。

 最近は、「新型インフルエンザウィルス」につづいて「コンピューター・ウィルス」という、やっかいなウィルスも登場してきて困ったものです。

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Dr.大久保

「風邪の話」

 この冬はとても寒かったので、風邪を引いた人も多かったのではないでしょうか。寒さ自体が風邪の原因ではありませんが、やはり冬の方が風邪を引く人はだんぜん多いようです。英語でも風邪のことはCommon coldといいますね。

 風邪とは、鼻水、のどの痛み、せき、発熱などの症状を来す病気ですが、なぜ「風邪にかかる」と言わないで「風邪を引く」と言うのでしょうか。
 
 風邪は、邪(よこしま)な風、つまり「悪い風」という意味で、古くから病気は、悪い風が体の中に「引き込まれる」ことによって起こると考えられており、それで「風邪を引く」と言われるようになったそうです。

 「悪い風」は、病気全般の原因と考えられていて、実際に「風疹」「痛風「破傷風」など「風」がつく病名がたくさんありますね。脳卒中の後遺症で半身麻痺になった状態を以前は「中風」と言いましたが、これも「風に中る(あたる)」という意味です。

 残念ながら風邪の原因の大部分であるウィルスに効く薬はありません。
 
 TVなどでは、「風邪を引いたら○○」などと風邪薬の宣伝をしていますが、あれは発熱や鼻水、のどの痛みなどの症状を和らげるだけです。
 
 しかし、風邪とまぎらわしい病気のこともありますので、自己判断で市販の風邪薬を飲むようなことはお勧めできません。また、お腹が痛かったり、下痢をした際に「お腹が風邪引いた」と言って風邪薬を飲んでいる人がいますが、大きな間違いです。
 
 必ずかかりつけのお医者さんを受診してください。その際、「風邪を引きました」だけでは、お医者さんは困ってしまいますので、どんな症状がいつごろからあるのかということを説明してください。

 風邪を引いたら、まずはゆっくり休むことです。保温を心がけ、栄養のあるものを摂るようにしましょう。熱が高い時は脱水症状を起こしやすくなるので、水分補給を心掛けましょう。
 
 また、ふだんからバランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動によって体の免疫力を高めておくことも大切です。


【大久保忠俊(おおくぼ ただとし)医学博士・大久保外科/消化器科院長】
大久保外科/消化器科 浜松市中区菅原町16−15(県居小学

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